私の知っている例を挙げれば、「練習コートでのプレッシャーがけ」 が、すごい。 30分刻みでしか使用できない練習コートでは、選手は、それこそ1分1秒を争い練習に励む。当然、次に練習を控えた選手は、「早く前の選手、練習止めないかな〜」と願っている。(いや、呪っている?)
すると、気持ちがはやる分、どうしても行動は大胆になりがち。前の人の練習時間が終わる10分前にもなると、ベースラインの後ろで “ウロチョロ” する。更には、反対コート側でも待っている自分の練習相手と、大声で話す。もっと凄くなると、ボレーボレーを始める選手も出る始末。
どこまでが練習コート上でして良い行為なのか、ルールブックには定めれてはいない。だから、厳密に罰することは難しい。又、全ての選手の態度が悪いわけでも当然ない。邪魔にならない場所で遠慮しがちにストレッチだけをしている選手もいる。しかし、だ。中にはあからさまに、「いい加減に変われよ!!」 的な態度を取る選手も、やっぱり存在する。
ある日の練習で事件は起こった。ダテックと基本練習、ゲーム練習を終えた私は、「ホッ」と一息つき、時計を見る。
「10時28分!!」
コート後ろにある公式時計は、秒単位で時間を教えてくれる。
「後、2分足らずか。」
「少し早いが “仕上がっている” からいいか。」 と思った私は、「OK!! ダテック、あがろうか?」 と軽快な声を発した。体は、次の練習を待っている選手に、コートを譲ろうとする仕草を見せている。
「わかりました。」 と、ダテックが答えると思ったその瞬間、私は雷に打たれる。
「信弥さん、そんなことをするから、日本人はなめられるんです。(怒)」
いままで聞いたことがない、ダテックの大声。更に、続けて一声。
「練習を待っている選手のプレッシャーに負けるなんて!!」
私は一瞬ひるむが、すぐに心の中では、「えっ、俺が悪いの? いや、別に後ろの選手にプレッシャーかけられて、コートを譲ろうとしたわけではないよ。ただ、単純に仕上がったから、無理して練習を続ける必要はないな、と思っただけ。」 と、声には出せない言い訳をする。
私の後ろで練習を待っているプレーヤーは、ダテックの大声に、「ビクッ!!」 とした表情を浮かべたかと思うと、コートの中に入ろうとした足を止めた。 「これか!! この感覚なのか。」 私は、周りの選手がダテックに対して、一目置いたのを雰囲気で感じる。
私は、勝負の厳しい世界に対応しきれていなかったのかもしれないと思い始めた。“大人の対応” を心がけようとしたことは、隠しようのない事実だったから。“大人の対応” とは、すなわち、「スマートに物事を進める」 ことだった。自分の練習時間内にコートを譲ったからといって、勝負に負けるとは限らないだろう。プレッシャーをかけるという側面からすれば、「譲ることによるプレッシャー効果!!」 も生めるかもしれない。
だが、やっぱりそれでは駄目なのだ。プロの世界は弱肉強食。 “弱い” と誤解でも相手に思わせたら、すぐに食われてしまう。ダテックは勝負の世界で、嫌と言うほど “そのこと” を思い知らされてきたのだろう。だから、普段ださない大声を発してまで私に警告したと言える。
現役引退後、ダテックはある雑誌の中で、次のような意味合いのコメントを発表している。
「現在の日常では気にも留めないことが、なぜか、現役中は気になって、気になって!! 今となっては不思議なんですけれど・・・・・」
それを読んだ私は 「そうなんだよ。現役時代は “針の穴” 程のことが、大事にように感じられる。その感覚は決して間違いではない。感性の鋭さがなければ、厳しいプロスポーツ界で生き残ることは不可能だから。」 と思った。
頭の片隅では、「選手に携わる人も、そのことを理解していなければならない。」 と自分に言いつけるように付け加えていた。
追伸:あなたのテニス上達をいつも願っている。
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Posted by tanakashinya at 12:02
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